パチ組みレビュー

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SA-16
■SA-16 スティレット 旧版

2009年10月、初めて世に発売されたフレームアームズが、これです。
フレームアーキテクトを「芯」として、かなり広い関節の可動域を持っています。

色分けがあまりない分、小さかったり壊れやすいパーツが少なく、組み立てが簡単でストレスがありません。少ない色分けも塗装する人にとってはあまり気にならないかもしれませんし、塗装しなくても、これはこれでカッコいいです。

説明書には、「月との戦い」という今のフレームアームズの世界観が確立する前の設定が書かれています。その中でも、前身たる空中作業用重機「S-10 スティル」の説明は、リニューアルバージョンでは書かれていませんから、一読の価値ありです(001

このパチ組は、「M547A5 60mmガトリングガン」、「S41-B 2連式ミサイルランチャー」ではなく、別売のM.S.G.より「Fa/SR-05 スタンダードライフル」を装備しています。これは、「フレームアームズモデリングサポートマニュアル Vol.001」に掲載された機体をイメージしたものです。

■SA-16d クファンジャル 旧版

中東で活躍したとされる、「SA-16 スティレット」の普及版です。説明書によると、膝が前後逆に折れた逆関節の足が地上戦闘力を高め、S字型に見える形状から「クファンジャル」と名付けられたのだとか(003。説明書の内容はリニューアルバージョンと大きな違いはありませんが、逆関節型(オストリッチレッグ機構)の優位性をより強調した文章になっています。逆関節型じゃない、普通の二脚型も選択できます。

「SA-16 スティレット」の旧版と違い、目とかかとのタイヤ、背中のブースターが塗装済みです。特にかかとのタイヤはリニューアルバージョンで塗装がなくなっているのが面白いです。残念ながら、パチ組みの出来栄えはリニューアルバージョンに敵いません。説明書の微妙な文言の違いが気になる人は、買ってみるのも一興かも?

■SA-16 スティレット

SA-16 スティレット。人類初のFAで、なおかつ、次世代機が主役となる「降下艇基地攻略戦」までも最前線で戦い続けた(S07、名機中の名機です。

リニューアルされてパーツの色分けが飛躍的に向上、パチ組みでもほぼ設定どおりのカラーに仕上がります。パーツ分けは多くなっていますが、それでも全体から見ればかなり少ない方です。関節の可動域も健在で、好きなポーズで遊べます。

■SA-16d クファンジャル

「SA-16 スティレット」の出力を強化、かつ脚部装甲を軽量化した生産型です。防御力を犠牲に燃費と機動性が向上しています。中東・インドで配備され、アントの迎撃作戦「オペレーション・アント・クリーナー」で華々しい戦果を上げました。これによって、アメリカへも配備が進んだ他、本機の肩のジェネレーターを転用した「SA-16B25 スーパースティレット」の開発契機にもなりました(003, 003R

キットのパーツの色分けは見事で、パチ組みでも十分な出来栄えです。両手の武器はマイナーチェンジでそれぞれ2種類を選択できます。

■SA-16 スティレット特務仕様

ロイ・エイラム大尉の率いる、特務部隊の機体です。エイラムは精鋭の「空戦FA乗り」で、新型機が続々と開発されても「SA-16 スティレット」に乗り続けました(015, S07。FA世界屈指のイケメンです。
エイラム率いる特務部隊は、試作機のテストを兼ねた戦闘に参加中、「NSG-X2 フレズヴェルク=アーテル」の襲撃を受けます。アーテルの凶刃に、次々と倒れる部隊機。エイラムは両手に剣を構えて応戦、自機を失いながらも護衛対象である試作機を守り抜きました。試作機は「Ki28」、後の「四八式一型 輝鎚」でした(015

キットは「SA-16d クファンジャル リニューアルバージョン」のコンパチです。同じリニューアルの「SA-16 スティレット」に比べて、スネやブレードの色分けがありませんが、それでも十分にカッコいいです。

■SA-16B25 スーパースティレット

「SA-16d クファンジャル」の活躍を目の当たりにしたフランス防衛機構は、自前の「スティレット」の強化に乗り出します。同機の航空格闘戦能力の向上の実証プログラムとして、「ブロック25」で36機が本機として生産されました。翼の幅が40%拡大されエンジンも改良、低速域での格闘戦能力の向上に成功しました。「第三次カナダ防空戦」に13機が投入され、高い戦果を上げました(MSM
既存のスティレットを改良する仕様のためかコストパフォーマンスに優れ、当時新型だった「SA-17 ラピエール」の量産化を断念させます(007。ところが結局、本機も操縦技術の難しさのために量産されず(MSM、改良型の「SA-16s2 スーパースティレット2」も次世代機の出現のために量産されませんでした(022。地球防衛機構の無計画ぶりを露呈した形ですが、月側のFA開発のスピードに振り回されたとも言えそうです。

キットは「SA-16d クファンジャル リニューアルバージョン」と「エクステンドアームズ04」の組み合わせです。「クファンジャル」の頭と胸、背中の翼を「エクステンドアームズ04」のものに差し替えます。その姿は「フレームアームズ モデリングサポートマニュアル Vol.001」に掲載されていますが、塗装なしでは似ても似つかない色に出来上がります。
写真のキットはタミヤスプレーを使い、クファンジャルの黒のランナーと「エクステンドアームズ04」全部をメタリックブルーで、クファンジャルの橙のランナーをラバーブラックで、それぞれランナーごと一括塗装しました。その上に若干の部分塗装を加え、素組みの要領で組み上げています。
武装の公式設定はないのですが、(1)本機はフランス防衛機構のプライドの産物と想像される、(2)コストパフォーマンの点から、使いまわしの可能性が高い この2つの理由から、オリジナルの「SA-16 スティレット」と同じ武装としました。写真の武器は、色の関係で「ウェポンセット1」のものを使用し、左手のミサイルは塗装しています。

■SA-16s2 スーパースティレット2

「SA-16d クファンジャル」を契機に研究開発が進められた「SA-16B25 スーパースティレット」でしたが、高度な操縦技術が要求されたために事故が多発、結局、僅か36機で生産終了となってしまいました(MSM
この問題点を解決するためにさらに改良が加えられ、量産計画に乗ったのが、この「SA-16s2 スーパースティレット2」です。重量と出力を増すことで安定性を確保し、非常に高い完成度を誇りました。しかし、完成した時には既に次期主力機の開発計画(SXプロジェクト)が進んでおり、結局、この機体もまた量産されることはありませんでした(022。小数機が精鋭に回されたと想像され、有名どころでは、ハンス・ヘンゼン中尉の乗機があります(S07

キットは「SA-16 スティレット リニューアルバージョン」と「エクステンドアームズ04」の組み合わせです。スティレットの頭と胸部分、両肩を変更し、両手と両足に武器ユニット「ACS クレイドル」を取り付けます。既に出来上がっているスティレットを使う場合には、胸と肩を分解する必要があるので、接着しているなら要注意です。強いコントラストのツートンで細かい色分けがなく、パチ組みでは、他の良キットに見劣りしてしまいます。可能なら、ぜひ塗装したいキットです。

■SA-16 スティレット制空部隊仕様

次世代機が普及してもなおスティレットを駆る熟練パイロットのために、チューンアップされた機体群です。戦闘の激化や生産ラインの縮小で徐々に数を減らしていたスティレットでしたが、それを生き抜いたパイロットの熟練度は極めて高いものでした。そこに至って「空戦FA乗り」は精鋭を示す言葉となり、特別に用意された本機は反攻作戦の要として勇名を轟かせます(S07

ストーリーの中では、ロイ・エイラム大尉とハンス・ヘンゼン中尉の乗機が活躍します。降下艇基地への反攻作戦の中、アントに囲まれて孤立したリロイ・ハロルド准尉の新型機「SA-25 カトラス」がありました。エイラムは驚異的な操縦技術でアントを蹴散らし、ヘンゼンはリロイの退路を確保します(S07

キットには「SA-16d クファンジャル リニューアルバージョン」と「エクステンドアームズ04」が丸ごと、グレーと白の統一色で入っています。新規パーツとして「左手用ガトリング」がついていて、これは意外に貴重かもしれません。組み合わせで”スティレット系”の機体を自在に作ることができます。あえて塗装や接着はせずに、バラしては組み替えて遊ぶのがお勧めです。

写真はエイラムとヘンゼンの乗機をイメージしたものです。向かって右側がエイラム機、左側がヘンゼン機です。
文中では、エイラム機は「SA-16」と書かれているだけでその詳細はわかりません。「素のSA-16 スティレット」の可能性はあります。しかし、挿絵の機体は違っていて、頭と胴体、それとはっきりはしませんが、背中の水平尾翼は「SA-16B25 スーパースティレット」と同じに見えます。果たして、この改造機は、文中で「SA-16」と表現されたエイラム機なのでしょうか…? ツイッターで有志に意見を求めた結果、「改造機であっても特に新たなナンバーリングが行われない限り、”SA-16”と表現されていても不思議ではない。従って、挿絵の機体はエイラム機と考えても良い」という結論に至りました。
ヘンゼン機については「SA-16s2」と記されているのみで、それを想像させる挿絵もありません。調査の結果、「SA-16s2 スーパースティレット2」は「両肩の大型スラスターと”ACS クレイドル”を装備した機体」と定義されそうです。それを満たす機体に多くのバリエーションは考えにくく、ヘンゼン機は素のそれと考えても差し支えないでしょう。

■SA-16Ex スティレット〈装備拡張試験型〉

月面プラントとの戦いで進められた「補充物資拡充計画」こと「EX計画」は、既存パーツを用いてFAの現地改修を促すものでした。しかし、現場判断で有り合わせのパーツを用い、場当たり的な対応をすると、機体のバランスが崩れるなど危ないことがわかってきました。そこで、地球防衛機構では、実際に併用してみて大丈夫なパーツから支給することにしました。そのベースに選ばれたのが「SA-16 スティレット」で、本機はそれ専用に改修が施されたものです。ハードポイントが増設された代わりに飛行に必要なパーツが外されているので、これ単体ではスティレットとしての戦闘能力を持っていません(050

劇中では、月面プラントとの戦いが終わった後の森林で、その時はガフ所属となっていたロイ・エイラムが本機を駆り、元戦友のジェフ・バルノフの危機に駆けつけます。その際の機体には、ジェフに「悪趣味な機体」と評されるほどゴチャゴチャと装備が追加されていました。「技術部の連中につきあっただけだ」(050と言いますが、月との戦いが終わった後にもなって、既に旧式であろう本機でエイラムは何をさせられていていたのか気になる所ではあります。

この「コトブキジャーマングレイのスティレット」は、本キット発売のずっと前から公式サイトにしばし登場したものでした。ユーザーの要望が強く、発売に至ったものと記憶します。 多数の3o穴と3o軸が追加されているので、思う存分に追加装備が施せます。さらに新規武装として、両前腕に装備できるレーザーカッター/機関砲が追加されているのが嬉しい限りです。旧型の「ウェポンユニット MW07R ダブル・サブマシンガン」もついてきます。