パチ組みレビュー

TOPに戻る

目次に戻る


三二式/三八式
■三二式一型 轟雷(M32 ウェアウルフ)

SA16-スティレットと共に、最初に登場した陸戦型FAです。緒戦で対アント兵器として高い戦果を上げ、多数のバリエーション機を生み出しました(MSM2, 001R。足のキャタピラは、速く走るための装備です(002

非常に組み立てやすいキットで、2009年に登場して数年が経過してもなお、そのクオリティーの高さは輝きを失っていません。機体各所に多く設けられた3mm穴により、非常に高い拡張性を持っています。関節の可動域は広く、接着剤を使うなら脆弱なところもなく、動かして遊ぶ玩具としても優秀です。ロボットプラモという広い視野で見ても、名作に違いありません。
色分けは二色ですが、あまり気になりません。部分塗装するなら、カメラ部分やキャタピラくらいでしょう。写真のキットは、キャタピラを「三八式一型 榴雷・改」のものに代えて色を合わせています。
■三二式三型 誘導弾 改良ホーク搭載型 轟雷

月面から飛来する降下艇を迎撃するため、大型の地対空ミサイルを装備したタイプです。
輸送コストに問題を抱えており、下記「三八式 榴雷」の登場後は、その数を減らします(S12
キットは轟雷系の色違いに、大型ミサイルとその発射機がついています。注目点として、「三二式一型 轟雷」に使えるデカールが付属しています。


■三二式伍型 漸雷(M32 type5 ウェアウルフ・アベンジャー)

「三二式一型 轟雷」のバリエーションで、近接戦能力強化型です。
足の無限軌道を外して突進力を失う代わり、装甲と格闘性能を確保しています。足の遅さを補うため、部隊の展開には輸送ヘリを用います。
興味深い点として、このキットの取り説には「格闘武器で武装する敵・アントに対抗すべく開発された」と記されています。アントが一般的に何らかの武装をすることを示す、貴重な資料となっています(004

「轟雷」よりもさらにパーツ数が少なく、シリーズ中、最も組み立てが簡単なキット一つです。成型色が明るめなので、少なくはありますが色分けがないところが目立ってしまいます。顔とか肘とか少しですので部分塗装するとグッとカッコよさが増しそうです。手武器の「ダブルバレルガン」はグリップが弱く、持たせても落としてしまいがちです。持たせるより、この写真のように背中にハンガーしてしまってもカッコいいです。
■三二式伍型丙 漸雷強襲装備型

月側の攻撃は容赦なく、前線は慢性的な物資不足に陥っていました(019。「ベイルゲイト基地攻略戦」で地球側は辛くも勝利しましたが「SA-17s ラピエール ゼファー」を含め、多数のFAを喪失していました(011。新型FA「EXF-10/53 アーマーグライフェン」の納入を見込んでいましたがそれもドタキャンされ、まともに動けるFAは「三二式伍型 漸雷」1機のみという惨状でした。しかし、ベイルゲイト基地には、まだアントが徘徊していて放置することもできず、また、撃墜された「SA-17s ラピエール ゼファー」の残骸も回収したいところでした(019
そこで、虎の子の「漸雷」を何とかチューンアップしたのが、この機体です。陸戦用の「漸雷」に空戦用のブースターを4機くっつけて無理やり加速力を上げ、シールドの代わりにマント「八九式防弾布」で覆い、火力アップにバズーカを2本並列でつけるという、急場しのぎも甚だしい代物でした。手元にあるもので工面する発想は、この後も様々な機体に受け継がれています(019
傭兵トルース・ロックヘッドはこの機体を使って抵抗勢力を排除し、「SA-17s ラピエール ゼファー」の残した「八式電磁加速砲」の回収に成功しました(011, 019。高い携行性と貫通力を併せ持つ、出所不明の高性能兵器です。後にこれを参考に、防衛機構は「YSX-24 バーゼラルド」の主兵装「セグメントライフル」を完成します(S02W

キットは「三二式伍型 漸雷」の色違いに、不織布でできたマントと2連バズーカ、4つの追加ブースターとそれをくっつけるための部品、額の追加装甲がついています。組み立ては「轟雷」同様に簡単ですが、マントやブースターをつけるときに先に組んだ部品を外して付け直すことになるので、組み立て始める前に取り説を最後まで読んでおいたほうが良いでしょう。マントは折り目がつくと戻らないので、取り扱いは丁寧に。
■迅雷

「迅雷」は、島田フミカネ様による「轟雷」の改造作品でした。その模型写真と美少女化されたイラストが、同人誌「RALLY:WORKS 09」に掲載されています。模型の方は長らく立体化されませんでしたが、美少女化の方は「フレームアームズ・ガール 迅雷」として先駆けて立体化されました。原作は白と黒でしたが、「フレームアームズ・ガール 迅雷」は赤に変更されました。

下記の「迅雷」が発表される前、YYなりに模倣したのが写真のキットです。「二次創作の二次創作」に当たりますので、島田フミカネ様には事前に連絡をとらせていただきました。 色はYYなりの工夫として「フレームアームズ・ガール 迅雷」に似せた赤としました。

「轟雷」のランナーごとタミヤのスプレーで塗装し、パチ組みの要領で組み上げています。胸のダクトなどには接着剤も使用しました。
ぱっと見、元の轟雷と大きく変わらないのですが、実際に作ってみると多くの手が加えられているのがわかります。胸についている左右のダクトは、元は両わきにあったものです。空いてしまった両わきは、そのままだとL形の凸の構造物が残るはずですが、グリーンのカメラのような凹形へ改造されています。両下腿のパーツにはカットが入り、組み替えられています。ひざ下の黒い構造物はフレームアーキテクトの膝がそのままかと思いきや、上下逆で位置も違います。 両肩に張り出した構造物は元は両脛なのですが、そこに付いていたはずの黒いパーツは両わきに移動しています。そのために残ってしまう凹構造はパテで埋めました。
公開に注意がいりますが、上手な方の作品を真似るのは良い勉強になります。

■三四式一型 迅雷

偶然か必然か、YYの所業と同じく「フレームアームズ・ガール 迅雷」のカラーで公式化された、FA「迅雷」です。
クラウドセンチュリーとしての設定とストーリーが付加されましたが、「機動力(履帯)を失い、装甲を削られた轟雷などカカシ以下」という「パイロットの評価」は的を得すぎて、ぐうの音も出ません。しかしウィルバーはこれを使いこなします。天才パイロットのなせる業なのでしょう。
苦労して上の「迅雷」を作った経験から、パチ組で簡単かつ堅実に「迅雷」を組めるなんて幸せでしかありません。さらに、過去に発売された「轟雷系」と違い、頭部の「目」のところがクリアーパーツになっているので、嬉しさ倍増です。
限定版では通常の轟雷の構築ができるパーツも入っています。これを使い、「三二式三型 誘導弾 改良ホーク搭載型 轟雷」に付属するデカールを貼ったのが、写真の向って右の機体です。武器は「フレームアームズ・ガール ウェポンセット1 SPカラー」から流用しました。

■三八式一型 榴雷

「三二式一型 轟雷」に遠距離砲撃能力を付加したものです。特徴的な両肩の大砲は「六七式・長射程電磁誘導型実体弾射出機」で、つまり「レールキャノン」です。 本機の支援砲撃によって、日本防衛機構は前線のFAの損失を回避することに成功しました。
近接戦闘を前提としなかった本機ですが、実際には近接戦闘に巻き込まれることも多く、結果、そのほぼ全てが「榴雷・改」へ改装されたようです(005

写真のキットは「三八式一型 榴雷・改」から盾を取り去り、頭を「轟雷」としたものです。「三八式一型 榴雷・改」のキットで「轟雷」を選択できることを生かした作品となっています。肩のアーマーは「轟雷」のままだったのか「榴雷・改」と同じなのか、取り説からは判断できませんでした。見栄えを重視して、ここでは「榴雷・改」のものを採用しています。

■三八式一型 榴雷・改(M38 ウェアウルフ・ブルーパー)

日本防衛機構により遠距離支援用として開発された「三八式一型 榴雷」は、実戦では近接戦闘に巻き込まれることも多く、対策が急がれたようです。この機体は「三八式一型 榴雷」にシールドを追加することで、近接戦闘にも耐えられるようにした改修型です。その性能は高く評価されたらしく、「M38 ウェアウルフ・ブルーパー」としてアメリカ防衛機構にも採用されました(005

また、本機と「SA-16 スティレット」、「RF-9 レヴァナント アイ」で構成されるイギリスの「フォーメーション・ガンプ」は、月からの敵方FA「NSG-04δ ヴァイスハイト」らを圧倒します(012。「ヴァイスハイト」は機動力に難があるため(MSM3、本機からの長距離レールキャノン攻撃の前にはなすすべなく破壊されたのではないかと妄想します。

このキットですが、「三二式一型 轟雷」の色違いが丸ごとと、専用のバイザーのついた顔、両肩の装甲と両下腿の装甲、キャノン、シールドが入っています。ですので、単純に「白い轟雷」を作ることもできます。組み立ては比較的簡単で、小さすぎたり壊れやすいパーツもなく、ストレスありません。「目」のところが最初から塗装されていて、「三二式一型 轟雷」からの進歩を感じます。写真のように展開されたキャノンと両足の「アンカー」はいずれも折りたたむことができ、折りたたむとスマートな印象に変わります。
まさに、ザ・支援機。フレームアームズ部隊の一つに加えてみてはいかがでしょうか。

■XM-322 ウェアウルフ・ファング

「三八式一型 榴雷・改」の取り説の末尾に、このようにあります。
「後に三二式五型/漸雷を基本に榴雷のパーツを追加した『XM-322 ウェアウルフ・ファング』も試験的に一部の舞台に導入されている」(005

これをYY的な解釈で立体化したのが、この写真のキットです。「三二式伍型丙 漸雷強襲装備型」のキットで「漸雷」を作り、「三八式一型 榴雷・改」の脚部装甲とキャノンを装備しました。肩のアーマーは「漸雷」なのか「榴雷・改」なのか不明でしたが、見栄えを重視して「榴雷・改」のものを採用しました。また、「榴雷のパーツを追加」という一文が「榴雷・改」ではないことに注目、バイザーや両肩のシールドはないものと判断しました。

「漸雷」は近接戦闘用に調整された機体です。遠距離支援型の機体のベースに、どうしてこれを選んだのでしょう?
色々と想像した結果、「榴雷」を「榴雷・改」としたのと同じ理由なのではないかと考えました。つまり、元々遠距離支援用ではあるけれど、敵機に接近された時に対応できるようにしたかったのではないでしょうか。ただし手段は違って、「榴雷・改」は「防御」、本機は「攻撃」です。
それなら、手に持つ武器は何でしょう?きっと、バズーカなどではなく、近接戦闘用の武器です。しかも、それをメインに戦うのではなく、僚機の到着まで持ちこたえられれば良い武器です。色々な候補がありましたが、「エクステンドアームズ01」から「スラッシュエッジ」を持たせてみました。「スラッシュエッジ」は耐久性はないけれども切れ味鋭い長剣です。これなら、懐に入られる前に敵機を切り伏せられるでしょう。鞘についている拳銃は、牽制の役に立ちそうです。
公式の設定にない部分を穴埋めして想像するのも、FAの楽しみ方の一つです。

■XFA-01 ウェアウルフ・スペクター

「撃破されたはずの友軍機が戦場を徘徊している」。

こんな不気味な噂の正体が、この機体です。「スペクター」は取り説では「幻影」と解説されていますが、和訳は「幽霊」で、つまり、「轟雷の幽霊」です。
まだ月側がFAを所有していなかったときに、撃破された轟雷が捕らえられ、月側の戦力として改造されたもの、というのが真相です。数で劣る地球側が月側に勝てる要素は、「FAを持っている」に尽きましたから、これは大変なことでした。
地球防衛機構はこれを秘匿事項とし、特殊部隊「SCARU」を派遣、傭兵を使って極秘裏に破壊します(013。しかし、この時すでに月側はFAの開発に必要なデータを得ていたらしく、数か月後、月側独自のFAである「NSG-04δ ヴァイスハイト」が姿を現すことになります(MSM3, KSA

この取り説で、初めて傭兵「トルース・ロックヘッド」が登場します。熱血の凄腕で、この戦いの後も、数々のFAを乗り換えながら強敵と戦っていきます。いつからか、彼は地球防衛機構のエージェントとして最新鋭のFAを預かり、運用データの収集に従事することになりますが(MSM3, PWE, S04、「スペクター」との戦いでは、まだ使い捨ての傭兵に過ぎなかったようです。
「スペクター」との戦いの後、「SCARU」と思われる司令官は、トルースが生きているにもかかわらず「味方機は残念ながら全滅」と報告します(013。「黒い噂の絶えない」髑髏部隊のSCARUです(025。下手をすると、口封じのために、トルースはその場で殺されていてもおかしくありませんでした。しかし、司令官は損傷したトルース機を残して戦場を去ります。司令官は、ここでトルースの口を封じたとしても、第二、第三の「スペクター」は現れるだろうし、いずれ公に露見するのは避けられないと考えていました。トルースを生かしたのは、無駄な作戦を立てた防衛機構への抵抗だったのか、あるいは、見事な戦いを見せた彼を死なせるのを惜しんだからかもしれません。

キットは「三八式一型 榴雷・改」の色違いで、少しの部品を足して武器を組み替えています。また、シールドの裏に、新しい武器としてグレネードとミサイルが追加されています。組み上げてみると、なかなかの貫禄です。「轟雷」や「榴雷・改」も選択式で作ることができ、広い遊びの幅を持っています。黒い「轟雷の幽霊」、お勧めのキットです。
■三二式三型 轟雷 現地改修機

「YSX-24 バーゼラルド」の建造が進められていた工廠が「NSG-X1 フレズヴェルク」の急襲を受けた際に、急遽出撃した機体です(S12
「三二式三型 誘導弾 改良ホーク搭載型 轟雷」をベースに、背中の4機のミサイルはそのままに、手足に機体推進用のブースターとしてさらに4機を追加装備しています。たまたま居合わせたトルースは、本機を用いてフレズヴェルクの撃破に成功しました(S12
キットは「三二式三型 誘導弾 改良ホーク搭載型 轟雷」で、ピンバイスで側面に3mm穴をあけたミサイルを4基、3o軸で手足に接続しました。ロケットの噴射光は、メガミデバイス「Chaos & Pretty マジカルガール」のものを用いました。

■三二式一型 轟雷・改

「NSG-X1 フレズヴェルク」の出現後、FAの装甲強化を目指したプランのうちの一つです。フレズヴェルクの主兵装であるビーム兵器に対抗するため、対ビームに特化した特殊装甲が追加されています。最終的には選定で「四八式一型 輝鎚・甲」に敗れたため量産はされませんでしたが、電磁加速砲「駿牙」の性能を買われ、開発チームとの交渉の結果、僅かな機数が生産されました(046
月面プラントとの戦いが終わった後も現役であり続けた機体もあり、劇中ではジェフ・バルノフが「はぐれFA」を狩るのに使用しました。その最中、カル・リッチーの駆る「JX-25F ジィダオ」を撃破しています。本機は、月面との終戦の後では旧型機ですが、使う人によってはまだまだ使える機体なのでしょう。このエピソードの中で、ガフ本部に収容されていたとされるトルース・ロックヘッドが「NSG-04δ ヴァイスハイト」で脱走する様子が描かれていて、見逃せません(046, S13

…という上記の設定は全て後付けで、本機は「フレームアームズ・ガール 轟雷改」をFAにしたものです。ガールはFAのスピンオフのはずでしたが、いつの間にか立場逆転したことを象徴する、衝撃的なキットと言えます。

キットは、轟雷+追加装甲+追加武装、そしてデカールです。肩の装甲は新規造形で色分けされています。また、取り説の内容が改善されていて、両下腿の組み立て方が分かりやすくなりました。デカールはやや手間ですが、見た目的にかなり重要なので頑張る甲斐はあります。選択式で通常の「三二式一型 轟雷」にもできます。

■三四式一型乙 迅雷〈突撃装備型〉

第一回FABCで新進気鋭の青年、ハル・ネイバーが搭乗した機体で、危険なルール違反の敵にも臆さず立ち向かいました(052,053
キットは、島田フミカネ様作成の原型に合わせたと思われる「三四式一型 迅雷」の色違いです。「M.S.Gウェポンユニット24 ハンドガン」と「メカサプライ03 プロペラントタンク〈角〉」が付いてきます。

■三二式一型 轟雷(M32 ウェアウルフ) Ver.F.M.E.

轟雷アーマーフルセットです。
「轟雷・改」を除く「轟雷系」の全ての外装パーツ(アーマーアームズ(Fa)が入っています。フレームアーキテクトが付いていませんが、「漸雷」よりも安価で、コストパフォーマンスに優れています。接着せず、自由に組み替え遊びをするのがお勧めです。
写真には2つのキットを使用しています。
(※「漸雷」の「ウェポンユニット MW-13 チェーンソー」、「漸雷強襲装備型」の「八九式防弾布」(マント)は入っていません。)